今日の目的はゆっくり漕ぎながら、鮭の遡上を見つけること・・・・のはずが、いつのまにやら代替バスの時間との勝負のようになってきた。足元に国土地理院のマップを置いて、目的地の明神岩までどのくらいか推し量りながら、もう、漕いだ漕いだ漕いだ。
そのかいあってか、なんとか4時前に到着。でもカヤックを分解してる時間はない。とりあえずどこかに上陸して、駅までダッシュして飛び乗って、あとで車を持ってきてから分解してもいい・・・・・と思ったが、ヤバイ!上陸できるところがない! いや、単身、身ひとつで上陸ぐらいはできるだろうが、カヤックを道路までひきあげられないほどの川岸の傾斜はキツい。ぐっ・・・・・、こうしてる間にもバスが来るかも・・・・と思うと気が気でない。

右が明神岩。
結局、諦めた、ここでの上陸は。次の石見川本駅まで下ろう。そしてそこで分解もして、満を持して次のバスを待てばよい。まだ日はある。そこまで行けば、勝って知ったる場所、上陸地点もいくらでもある。
と決心したものの、川本まではまだまだ距離はあるのだ。時間は4時を過ぎ、山際で輝く太陽が儚い眩しさを放っている。
「うわぁ〜、太陽沈むなあっ、沈まないで待ってくれぇ・・・・」
ちょうど太陽に向かって漕ぐかっこうなった。まだ、水面は明るいが、振り返れば背景の山並みには夕闇色が滲んできた。もう「走れメロス」の気持ちである。暗くなる前に石見川本に着けるだろうか?不安を感じつつも迷ってる暇も無い。もう漕ぐしか道はないのである。

山間地の日没は早い。上陸地点の河原まであと数百m地点まで来た。今日ほどトロ場が憎らしいことは無かった。いつもはゆったり風景を感じながら漂うところ。しかし今日はそんな気持ちの余裕がない。漕げども漕げどもその遅々として進まない川にいらだつ。いつもよりは遥かに速く漕いではいるはずなのだが、周囲が暗くなるほうがずっと早い!
ゴール手前には恒例の激しく楽しい瀬がある。でももうその表情すらよくわからなくなってきている。暗くてよく見えないけど、今日は水量少ないから岩が出てるかもな。それにぶつかっちゃったら?沈しても暗いし誰も気付かない?助けてくれない??だいたいこの暗い川でカヌーしてる俺って、キチガイに見えるよっ!などと思いつつも突入!なるようになっちゃえ!
5時前、目的地の河原に到着。ふぅーっと一息。しかし安心はしてられない。これから艇を分解しなくてはならない。艇をかついで河原を歩き、コンクリートの護岸まで運ぶ。するといつもの組み立て&分解場所は工事中で柵がしてあり、立ち入り禁止に。
「あれー、ヤバイか。でもここしか場所ないしなー」
と気にせず分解作業をしていると、ものの数分でパトロールカーがやってきて注意されてしまった。
「はい!すぐに出て行きますから!」
いったいどこで見張ってたんだろうか?
とりあえず分解が住み次第、出て行くことで承諾も得、カヤックバックをカートに載せて駅へ向かった。もう辺りは完全な夜、闇である。黒いウエットスーツにデカイ荷物をかかえて、まるでどこか国の秘密工作員?などと自嘲しつつも、無事、石見川本駅に着いた。
バスは行った後だった・・・・。あらー、数分遅かった。次のバスは1時間後。もうくたくたの体はとても待ってられない。しょうがないので居眠りしてるタクシーの運ちゃんをたたきこし、浜原駅へGO! 料金は4000円もかかってしまった。結構距離があったのねぇー、と実感。
そういえば鮭の姿はまったくなかった。運ちゃんに聞くと、支流には少しいるが、本流ではほどんど見ないという。まあ、そういうことも予想はしてたけどね。それにちょっと漕ぐ時期も遅かったかも。紅葉はそこそこ綺麗ではあった。しかし後半はよく見えなかった(笑)。パドルは軽くてこれは楽だった。今日、これほど漕くことになろうとは思わなかったが、大いに助かったというべき。
今年最後のダウンリバーは色々あったが、終わってみれば最後にふさわしく印象的な川下りとなった。
おまわりさんは優秀なものでどこでも現れます。シーカヤックのツーリングで海で休んでいたところ、何事ですか?と声をかけられたことがあります。カヤックウェアは怪しく見えるのでしょうか。