カヤック錦川ダウンリバーの翌日、山口市まで足を伸ばして、久保修氏の個展を見に行った。ちょうど市内は国民文化祭のまっ最中で、穏やかな陽気にも包まれて、出歩いている人々が多かった。個展が開かれている
ギャラリーナカノも市内中心部の賑やかな商店街の近くにあった。
久保氏の作品集は何冊も持っているが、実物を見るのは初めてだ。絵というものは、全てにいえることだが、百聞は一見にしかずというのもやはり当てはまる。画集で100回みても、実物でしかわからないスケール感、質感など、発見は多い。さらに切り絵は、紙を幾重にも重ねて作成している場合も多く、鼻息がかかるぐらい絵に接近して初めてその作成技法に気付き、驚くこともある。
小さなギャラリーではあるが、30点近くはあったろうか。入り口を飾っていたのが、「新巻鮭」。ギャラリーなので、値段もついている。
うーん、この労作にして、このお値段。なるほど!


展示作品中、もっとも大きい、町屋をズバリ正面から見た絵。大学で建築学を学ばれた久保氏ならではの美的センスだろうか、平面図をアートに変えてしまったというか、斬新なアングルだ。また、平面な写真では恐らく気付かないかもしれないが、この絵は立体的技法で構成されていたのにはとても感じ入った。
切り絵は普通、台紙に密着して貼りつけるのだが、この作品では、台紙から数センチ浮かせて固定してある。すると、切り絵の影が背景の台紙に写り、見る角度によってそれは微妙にずれて、そこにわずかながらも立体感が出現する。切り絵そのものは全くの平面なのだが、切り絵は言い換えれば穴の空いた絵であるから、視点が絵の表面を通り抜け、その向こう側までみせてしまうという、まさに切り絵ならではのテクニックだ。
そういう技法には気付いていても、実際にやったことはなかったが、なるほど、この作品で初めてその効果的な演出が有効であることがわかった。うーん、いつか試してみたい。
それにしても、1000枚を越えるのではないかという瓦の切り込みには、それがとてつもなく根気の要る作業だとわかっているが、本当に頭が下がる。
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