上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 加藤氏が自死に至った理由はこの本を読んでもわからなかった。

 ここには自らの過去を楽しそうに振り返る氏の姿が記録されていた。子供の頃に着ていた服の話から、フォーク・クルセダーズでのこと、ミカ・バンド時代、ソロになってからの優雅とも言える海外での体験話など、普通に読めば加藤氏の、普通人には体験しがたい人生においてのエピソードがあれこれ披露されて、氏のファンとしてはその才能をうらやむばかり・・・・・といった感じだ。

 しかしこの人生の結末が、昨秋の自殺、自死に至ったわけだから、彼をそこに追い込んだのが何んなのか、凡人には見当がつかない。

 この本の元になったインタヴューはここ1?2年前に氏自身の発案で行われており、これも人生の幕引きの準備だったとも考えられる。しかしまったくネガティブは印象は受けず、充実した過去、そして今も精力的に音楽活動に、悠々自適にいそしむ氏の姿だけがあらわになっている。

 表紙のカバー写真は氏の自宅スタジオでミキサー宅を背に、傍らにフェンダーギター(キース・リチャーズと同じ5弦仕様だ!)を置いて、さりげなく趣味性を披露。本タイトルは「ラスト・メッセージ」だが、もし氏が存命でも「洒落として」同じタイトル、同じ体裁で出版することもできたかもしれない。

加藤和彦ラスト・メッセージ加藤和彦ラスト・メッセージ
(2009/12/16)
加藤 和彦

商品詳細を見る


 巻末には自死の際の遺書が写真で掲載されていた。まさに死の直前に作ったと思われるものでそこにはインタヴューとはまったく違って、自身が作ってきた音楽といまの音楽世界に対する失望が記されていて、インタヴューでの快活さと明暗が開きすぎて、心に突き刺さる。

 加藤氏はこのインタヴューを出版するつもりで始めたようだが、もしかすると、改めてこれまでの人生を振り返ってみることで、自らの過去をつまならいものだった、などと錯覚してしまった、あるいは過去の栄光に比して未来に期待ができないとか失望の念をもったとは言えないか? それが自死につながった・・・・?

 氏がインタヴューをどれほど重要視していたのかはわからないが、人生のエピローグの一部となった本書を読むと、ただ出版するだけのつもりで始めたインタヴューが、次第に氏にとって別に意味に変化していったのかも、とも思えてきた。
スポンサーサイト

【2010/01/30 08:14】 | 名称未設定_17
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。